3月 一年は五季の美しさ

フィンランドの人たちは、四季がはっきりしていることを「フィンランドの自然の魅力」として、しばしば口にする。

 

日本の四季で生まれ育った私には、花が一気に咲き乱れ森が緑で満たされていく夏、紅葉の秋、そしてあたり一体が氷と雪の世界の冬に比べ春の存在感はとても薄いように思われる。でも冬の終わりを待ちわびる人たちには、光の加減、空の色、風の感じなど、春には敏感で、春の訪れはひとしおなのかもしれない。

 

そんなフィンランドのお隣エストニアでは、「四季」でなく一年を「五季」と考えている地域がある。大きな川のある地域に訪れる5つめの季節、それは雪解けの時期のことをさした。

 

雪解けの水が川に流れ込み、川の水が氾濫するこの時期、湿地の多い森は大きな沼のようになる。本当の沼と違うのは、沼のど真ん中に巨木ずらりと並んだりすることだろう。雪の多い年には道路も川のようになり、人々は日々の移動にまでボートを使うようになる。だからこのような地域では、一本木をくり抜いてカヌーを作る技術が、古くから伝わる。

 

保養地で知られるエストニアの海辺の町パルヌにほど近いソーマーでは、この5つめの季節にカヌーで森散策することができる。

 

水位はそれほどなく、膝にかかるくらい。透き通った雪解け水の下には、湿地の苔が見える。夏や秋にはここでクランベリーやクラウドベリーがたくさん採れるという。ぷかぷか浮く氷は、日光の加減によっては銀色に輝いたり。地面にほどちかい目線で、木々を眺めると森は一層大きく感じられ、鳥の声も、風が天から運んできた春の歌のように響く。

 

新緑時期はまだ先のこと。そんな雪解けの季節だけに楽しめる景色。浸水や洪水と言えばそれまでの自然の威力に対して、こうやって美しい一つの季節として考えることに自然と共存する人々の知恵を感じるのだった。

森がこんな風景になる5つめの季節。この地域では一本木でカヌーを作る技術が古くから伝わる。

森の中に湿地が多く、この一帯は夏から秋にかけてベリーの宝庫になる。

エストニアでは春を告げる白樺の樹液よりに先がけ、5つめの季節のときにカエデの樹液を集める。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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