2月 雪でも春でも

久しぶりにフィンランドに戻ってきたら、雪がない。東京より暖かいという。道路には滑り止めでまかれた砂利が残っているばかり。話によると、ここ最近は雪ではなく雨が続いていたのだという。

 

 

学校は2月にはいるとスキー休暇というのがある。この1週間の休暇を利用し、太陽を求めて南国へ旅立つ人たちもいる。私の周囲では「もうロウソクの灯かりも味わいつくしました」と口々に言う。厚い雨雲の下、薄暗い風景の中をやりすごす日々の工夫もやり尽くした感がある。なんてたってヘルシンキは-40℃でも街が機能できるようになっているのだ。なのに今年は雪もなく海だってほとんど凍ることがない。厳しい冬を乗り越えるために工夫されたあれこれのことを使うこともない。冬ならではの日々の楽しみもお預けだ。

 

 

凍った海の上を散歩することも、雪の積った歩道をベビーカーでなくソリでいく小さな子も、公園の天然リンクもそりすべりも、この冬はほんの少しの期間しか叶わなかった。私じしん海の上を歩いたのはたった2回だ。

 

 

もう少し、もうちょっとでいいから冬の遊びをしたかったと思う人たちは多い。そして暖冬というのであれば、いっそうのこと太陽が燦燦と輝く毎日が続いてくれないかとも思う。あと少し、冬らしくなるか春らしくなるかで、きっと皆もう少し楽しくなるのだろうなあ。それくらい、日々の薄暗い風景は人の気持ちを疲れさせてしまう。

 

 

ゆっくりと公園や海辺を散歩する。土はまだまだ氷に覆われじっとしているけれど、海辺の葦が風に吹かれるさまは、どことなくのんびりしていて、ほんのりと漂う春の気配に身を任せているようにすら思える。私などは底のしっかりした重い冬のブーツを履き、真冬の格好のままだけれど、おしゃれに敏感な若い子の中にはすでに短いスカートに薄いタイツなんて装いも見受けられる。何かが芽吹くような、春の気配を見つけた瞬間って、なんとも嬉しい。

 

(文章・写真 森下圭子)

小さな生き物だけが海の氷の上を歩いていく。薄い氷に注意を促す看板もあちこちで見かける。

外でたくさん雪遊びして家のなかで温かいコーヒーとクリームたっぷりのパン。この時期の定番なのだけど、暖冬だからなあ。

この冬、凍った海の上を歩いていられたのは1ヶ月もなかった。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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