11月 厚い雲と雨の空の下で

11月と聞いただけで、うなだれてしまう。フィンランドの人にとってもそう。お互い「辛いわよね」といいながら、どうやって乗り越えようか、そんな話になる。ロウソクでほんのり暖かい空間を作る、花を飾って部屋を明るくするのもいい。日照時間が極端に短くなるこの時期は、ビタミンDが不足しがちだからサプリで補ったりということも必要だ。

 

11月は夜が長く、日中は日中で厚い雲に覆われた空の下、なかなか太陽を見ることがない。おまけに雨が多いとなると、外にでるのが億劫でしかたない。なるべく外に出なくちゃと外にでる理由をあれこれ作ってみる。お気に入りのカフェを新しく見つけるとか、友達と料理しようだとか。

今年はおばあさんの話を聞きにいくという新しい楽しみができた。小さな食料品店をやっているおばあさんの森の話。

 

おばあさんは夏になると、隣町にある森の中の夏小屋で暮らす。野菜やベリーを育てようと小屋の脇に小さな菜園を作ったものの、ベリーは動物が食べていってしまう。でも、おばあさんは「私は店に戻ればいつでもあるからさ、いいのよ」という。動物たちはベリーをいっぱい作ってくれるおばあさんの様子を見にくる。庭でうとうとしていた時のことだ。顔になにかの気配を感じて眼をあけたら、鹿がおばあさんの顔を覗き込んでいたのだ。あらっと挨拶をすると、鹿の背後には小鹿がいた。鹿も狐もおばあさんに自分の子供を見せにきたりするのだそうだ。

おばあさんがベーコンを焼くたびに、「ちょうだい!」とおねだり鳴きをするキツツキにいたっては、おばあさんの子供気分だ。おばあさんの掌からじゃないと餌を食べようとしない甘えん坊のリスもいる。夏とは景色が変わりすぎてて、夏の森がどうだったか、ぱっと思い出せない11月でありながら、おばあさんが話してくれる夏の森の話は風景が浮かんできて楽しいのだ。冬の暗さ、これで乗り越えられるかな。

野原や畑に広がる秋の朝は、しばしば靄や霧に包まれて。

11月らしい昼の空。厚い灰色の雲から、めずらしく太陽が顔を出してくれる一瞬の嬉しさ。

雨も多いけれど、いつもより青空を見上げる日が多かった気がする今年の11月。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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