7月 百夜と深夜中の散歩

夏至が過ぎたとはいえ、ラップランドのほうはまだまだ白夜。真夜中でも空が明るくて、つい一日のリズムがおかしくなってしまう。でも真夜中の散歩の楽しみがたまらなくて、リズムの狂うがままにしてしまっている。ぱっと見た感じはお昼や夕方と変わらない真夜中の空、でも何となく違うのだ。

空気がどことなくよそよそしい。すこし冷ややかな空気、でもその感触がひどく乾燥している北国の空気にあって、しっとり優しくも感じられる。そうそう、いろんなものがひっそりしてるのだ。向こうに見える森はじっとしていて微動だにしない。風の中で気持ちよさそうに葉を揺らす昼の活発さは身を潜めてしまっている。散歩道の脇に並ぶ草花はすやすやと眠っているようだ。そういえばタンポポはお昼の時間帯だけ黄色い花をさかせ、夕方の時間を過ぎれば花びらは閉じてしまう。このラップランドのしんと静まり返ったそんな明るい空の下を歩くのがフィンランド南部に暮らす私にはいつも新鮮でたまらない。

静まり返った空気と景色の中を鳥のさえずりが響き渡る。明るく嬉しそうに真夜中も歌い続ける。獲物を探しに遠出しているらしき猫が、機敏に道を横切る。夜じゅう外に放牧されたままの牛や馬は静かに草を食み続け、ときおり散歩している私のところに近づいてきたりする。やがてこんな風景に靄が加わる。太陽を浴びる時間が長いだけに海や湖の水温が昼のぬくもりを保つ一方で、徐々に朝晩の冷え込みが大きくなると、夜毎に湖や海から靄がたちのぼるのだ。

白夜の空の下、真夜中に歩くラップランドでの散歩は自分の感覚を研ぎ澄ましてくれているようでもある。静寂に耳を傾けたり、靄にじっと目を凝らしたり。眠っている草花の気配を感じたいと静かに立ちすくんでみたり。こんな時間はいつでも手に入るものじゃない。だから今だけは、真夜中に散歩したり一日のリズムが狂うことも楽しんじゃおうじゃないのと思う。

岩ばかりのつるんとした島にぽつり。こんなカフェがある。夏ならではの楽しみ。

さあ、ブルーベリー摘みの季節。森を這うように動くので森の姿が違って見える。

真夜中に太陽が。そんな白夜の風景。こんなに明るい。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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