1月 おしゃべりにする冬景色

すごい雪だ。同い年のヘルシンキの人でも初めてという。中年と呼ばれる域にどっしり腰をおろす私の世代ですら、である。ヘルシンキでは1966年以来なんだとか。とにかくクリスマスの少し前あたりから、雪がとにかく降る、そして積もる。おまけに1月に入って急に冷え込み、いつもよりずっと早くに-20℃を記録した。むかし「-40℃だってヘルシンキの街は機能するんだから」と教授が誇らしげに語っていたけれど、寒さと積雪がどかんと一緒にやってきたら大変。空港もトラムも電車も問題が起きてしまったり、そのつど居合わせた人々に助けられていたり。1月もやっと半ばを過ぎただけなのに、これからどうなるんだろう。

 

 

街のあちこちでスキー板を抱え、いそいそと森や海(凍っているのでスキーができる)へ向かう人たちを見かける。昔はほんと、学校へも職場へも冬はスキーで行けたりしていたらしいし、ちょっと行けば思う存分クロスカントリーのできる何十年ぶりかの環境に、昔とった杵柄(きねづか)といおうか、とくにお年寄りたちが嬉々としている。本当に嬉しそうだし、外国人の私と目が会うと誇らしげでもある。

 

 

ふんだんの雪に加えて今年は樹氷にも恵まれた。ヘルシンキのいたるところで樹氷というのは私だけでなく、多くのフィンランド人にとっても初めての経験みたいだ。樹氷で白く輝く街の景色。新聞などでも「絵本の世界に入りこんだような」などとあるし、散歩が楽しくてしょうがない。そしてこの美しさ、ついつい通りがかりの人と共有したくなってしまうみたいだ。私がきょろきょろと嬉しそうに樹氷を眺めてゆっくり歩いているからかもしれないけれど、やたらと話しかけられる。「素敵よねえ」から始まって犬の話をされたり、そばのショーウィンドウの子供服の話をされたり。最近飲んだおいしいお茶の話まで。なんだか 気づくと樹氷の美しさの話では全然ないんだけれど、でもなんだろう、樹氷の美しさはいろんなものを楽しく素敵にしてしまうのだろうな。なによりも街じゅうが笑顔でいっぱいの冬になってくれて本当に嬉しい。

 

(文章・写真 森下圭子)

-20℃のヘルシンキ

冬のかもめはおとなしい。夏のあの攻撃的なかもめと同じ生き物だと思えないほど。

この冬は地元の人たちが「絵本の世界みたい」というくらいのめずらしい景色がヘルシンキにひろがった。樹氷。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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