2月 海からの眺め、真冬のピクニック

-20℃になった日は、朝から心が躍った。心待ちにしていた冬らしい冬。暗い冬はつらいけれど、寒さが増し雪と氷に覆われたような2月の寒い冬は、キリリとして嬉しいものなのだ。そんなことを暢気に言ってられるのは、寒い冬をやり過す重ね着の工夫を覚え、街は-40℃でも機能するようにできていて、そして建物の中はセントラルヒーティングでぬくぬくしているからかもしれない。やがて私は凍てついた寒い日を数えていく。一日、二日...周囲もなんだかそわそわしている。海のあるヘルシンキでは、こうして海の氷がだんだんと厚くなっていくさまを追っていくのだ。

 

 

人はひとり、また一人と海の上に出て行く。まずはアイスフィッシングの人。用心深く海を歩き、氷に穴をあけて魚を釣る。他の釣り人との距離が近すぎると氷が支えられないので、氷のこと魚のこと他の釣り人のことを考えながら慎重に腰を下ろす場所を決定するのだ。それはまだ海や湖の氷には気をつけなさいという注意がでるような時期のこと。次第にテント持参で海の上をトレッキングするようなスキーヤーやスケーターといった万が一の心得ができているような慣れた人たちが手ならしにと海にでる。少しずつ人が増え、さらに「大丈夫そうだ」という話を見聞きした人たちがそわそわし始めたらシーズン。いよいよ凍てついた海の上を存分に楽しむ時期がやってきたということだ。

 

 

海に立ち、そこから眺める島や森は船から眺める風景とは違う。景色が流れていかない状況で改めて森を眺めると、海からの強い風を受けた森の木々が仲良く揃って傾いでいるのがわかる。雪原の向こうにうっすら見える島などは、雪原の中の小高い丘のようだ。海に吹く風につられて流れていく風景もいいけれど、何かに向かって自分の足で近づいて見たものの表情や、いつもの散歩とは反対の方向から見る太陽や月の風情の愛おしいことといったら。じっとその場で時が満ちていくのを待ちたくなる。この2月は年末にいただいた羊の毛皮を敷けば氷の上でもちっとも冷えないことを覚え、羊の毛皮を片手にあちこちでピクニックをしている。すっかり病みつきになってしまったしまった。

 

(文章・写真 森下圭子)

日が沈んでいく時間。夕日が雲に隠れたり顔を出したりするたびに空気の色もゆらゆらと移り変わっていく。

島をこんな近くでこの高さから見ることは海を歩けるこの時期だけ。

満月が白く輝きだす頃。このまま暗くなるのを待ち、月明かりに照らされながら海の上を歩いていくのもいい。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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