9月 不況のミカタ、森のベリー

つい先日かごを手に森へ行った。お目当てはきのこ。9月に入ってからも夏の陽気がぽっと戻ってくるけれど、森では紅葉がはじまっている。この時期の 分かりやすい茸といえば「杏子茸」。オレンジがかった黄色は、森の中では黄金色に輝いている。ところがこれが湿った苔の上のぺたり落ちてる黄色く染まった 白樺の落ち葉にそっくりなのだ。森のなかで黄金の輝きをみつけては走り、白樺の落ち葉の前でがっくりするを繰り返してしまう。きのこシーズンの幕開けは毎年見事にこんな風で、むしろ絶妙な感覚でで杏子茸の群生のように散らばる落ち葉に感心したりするほどだ。結局その日は気づいたらブルーベリー摘みになっていた。シーズンは終わったと思っていたブルーベリーが、まだまだ森のなかに美味しそうに広がっていたのだ。よかった、手ぶらで森を出なくてすむ。おまけに大粒で甘い。今年は本当に120点のブルーベリーだ。

 

 

ブルーベリーはリンゴンベリーと違い、生のままでずっと置いておけない。私は摘んだその日のうちに保存分を牛乳パックにいれて冷凍している(何人かに教えてもらった牛乳パック方式は便利!)。なので、なおさら森や市場で生が手に入る時期は生を味わって楽しみたい。毎朝、森で摘んで朝食に…が理想だけど、ヘルシンキのように競争が激しいところではもう見つからないし、今は市場のお世話になっている。市場で店を構える女性と話をした。ブルーベリーを売りに来る人がこんなに多かったのは、商売を始めて15年で、初めてのことだったらしい。税金がかからないので、確かに取引きはシンプル。気軽に売買できる。それで毎日いろんな人がやって来ては、話をもちかけてたのだそうだ。

 

 

茸というのは「情けない食べ物」的な存在だったことがある。戦争の食糧難のときだ。食べるものがないから森で茸を食べて飢えをしのいだ時代。それがトラウマになってしまい、今でも苦手な人がいる。一方でベリーにはそんな話をきかない。いつの時代にあっても揺るぎなく、ベリーは重宝されてきたみたいだ。そして今。不況のお小遣いかせぎにもなるベリー。不況で家計が苦しくても森へ行って自分で摘めばタダ、おまけに体にもいい。ベリー 万歳、ベリーさま様ではないか。あ、茸が見つからないときの、手ぶら逃れのベリーっていうのもあるか。ベリー、ありがとう!

 

(文章・写真 森下圭子)

ヘルシンキの街。森の中だけでなく、空の色も秋がじわじわ広がってきている。

フィンランドでも西海岸の限られたところでだけ観られるというシーバックソーン。すっぱい、ビタミンたっぷり。1粒で何百mも走れそうなくらいの衝撃の酸っぱさ。

甘さも粒の大きさも今年は120点の見事なブルーベリー。摘みたてを食べられるのは、あとどれくらいだろう・・・。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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