11月 ラップランドと-20℃の雪景色

少し前にラップランドから戻ってきた。久しぶりのヘルシンキは雨。雪のない街はいちだんと暗くて、染み入るように降り注いでくる雨の街は、20℃ほど気温が低かったところよりも寒く感じられた。

 

 

-20℃、さらに道はつるっつるの氷と雪に覆われている。海沿いや山の上の風が強いこと。風の気まぐれで道路の上の雪は右へ左へと舞い上がる。車が通るたびに、ひどい雪けむりも起きる。風がひどすぎて目をあけているのも、息をすることも大変で、後ろ向きに立ってみたりしながら、その場その場をしのぐしかない。足元の氷は溶けたり凍ったりを繰り返し不揃いな層を何重にも作っているのか、時おり氷が勢いよく砕けて足首がグキっとしそうになる。

 

 

車を走らせれば、少し路肩に車を止めただけで、ほんの数分で車が雪にはまってしまう始末だ。3人がかりで車を押しながら、少し前に見かけた、道の脇に横たわるトナカイの死骸を思い出していた。木も育たないほどの北の大地で何もないようなところなのに、トナカイの死骸をついばむカラスが群れていた。

 

 

過酷で怖さもあるけれど、でも静かで真っ白な世界は、とてものんびりしていた。フィンランドの山々はなだらか。その曲線のうねりが、ときおり白い空との境 をあいまいにしている。怖いことが頭をよぎっても、それでも気持ちはどんどん安らいでいく。ラップランドでの10日ほどの間、ほとんどテレビを見ることも 音楽を聴くこともなかった。刻々と変わる自然の風景は圧倒的だったし、風や光のゆらゆら移ろいでいく様子は音楽を奏でられているような心地だった。

 

 

よく2時間とか散歩していたものだ。そうだ、山の頂でバナナの皮を見つけた。-20℃で息をできないほどの向かい風に見舞われたりもするようなところで、 バナナを食べたツワモノがいるって凄い。その人に敬意を表しつつ、雪の上に放置された黒ずんだバナナの皮を傍のゴミ箱に捨てた。こんな過酷な地にゴミ箱があるということが感動だ。人はこういうところに、ふと足を踏み入れたくなるものなのかもしれない。

 

(文章・写真 森下圭子)

しんしんと1日雪が降り続いた翌日。森のようすはクリスマス物語のようになった。

ラップランドでの日照時間は極端に短い。日照時間がゼロになる極夜を目前に控えて。これで午後3時半ごろ。

本格的に雪が降るようになって1週間。どこもかしこも雪にすっぽり覆われた北極圏の北の町。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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