4月 春の陽と白鳥の歌

フィンランドの北の町にやってきた。春があちこち巡りながら、忙しく息を吹きかけているみたいだ。同じ日ですら朝と夕方で景色が全く違うほど、春はぐんぐん色濃くなっていくのだ。つい数日前まで凍っていた川も急流となり、冬の氷は割れて急流に呑まれ流されていく。川の流れは冬の面影を海のほうへ持ち 去って行こうとしている。

 

 

ヘルシンキは花粉症で苦しい時期になっていた。とくに雪の多かったこの冬は、滑り止めにまいた砂も砂利も例年よりずっと多い。粉塵と花粉の組み合わせは本当に辛い。今年はいつも以上に薬局に駆け込んだ人たちがいるんだろうな。北はまだ、それほどひどいことになっていない。久しぶりに心ゆくまで散歩ができて楽しいのなんのって。

 

 

小さな港のある北の町。海の上をもう歩くことはできない。砂浜の砂はむき出しになり、森に目をむければ、ブルーベリーやリンゴンベリーの葉が雪の下から顔をだしている。この時期の陽のぬくもりは、森も海も砂浜のことまでも、いつも以上に表情豊かにしてくれる。たとえば海......遠くのほうでは雪 がほのかに模様を描く氷の上に陽があたる。陽のあたたかさはゆっくりと靄(もや)のように立ちのぼり、氷の上でキラキラしている。氷がとけ現れた水面にあたる陽のぬくもりは、元気いっぱい。陽を浴びた水面は、まっすぐ四方へ光のぬくもりを伝えてくれそうだ。砂へと差し込む陽の光はじわじわと、大地の奥へ奥 へと沁みていってくれそうだ。森の中......動物や植物たちをゆっくり目覚めさせてくやさしい木漏れ日や陽だまり。

 

 

ふと空を見上げれば、白鳥たちが飛んでいる。まぶしい青空の下をゆく白鳥たち。ときに遠くから聞こえてくる白鳥の歌声。空を見上げると翼のような雲があった。ひこうき雲みたいに、白鳥が飛んだあとにぽっかりできた雲なのかもしれない。夜中にはオーロラもでたようだ。4月の、春のオーロラ、なんかいい。

 

(文章・写真 森下圭子)

何ヶ月も氷に覆われていた海が少しずつ水面をみせていく。

白鳥たちがやってくる季節。空もなんとなく鳥が翼をひろげたようで。

春はとても忙しそうにしているリス。通りがかりの人たちからもらうビスケットやピーナッツをおいしそうにかじっている。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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