10月 冬ごもりの前に

秋が深まり、聞こえてくる鳥の声が限られる。最近よく耳にするのが白鳥。南へ飛び立つ前、あちこちから白鳥が集まり歌っているのだろうか。白鳥はフィンランドの人たちには特別な鳥のようだ。彼らがちょっとばかり得意気に、そして嬉しそうに「見かけた!」と教えてくれる鳥といえば鶴と白鳥の気がする。鶴は確かに数が少なそうだけれど、でも白鳥は畑にだって降り立っているほどあちこちで見かける。なんであんなに特別な鳥っぽい言い方するんだろう…と思っていたら、一時期とても貴重な鳥になっていたのだそうだ。戦争で食べ物がなくなったとき、人々は白鳥を撃って飢えをしのいでいたという。そうして戦後には白鳥をほとんど見かけなくなり、今の50代くらいの人たちにすら白鳥は子供のころほとんど見ることのなかった貴重な存在らしい。

 

 

白鳥を追ってあちこちの水辺に足を運んでみる。朝晩の冷え込みが零下になるような時期に入ると湖や池、川など水面が急に変化するのがはっきりとわかる。夏とは明らかに違うこと……それは水面がキリリと透き通っていて、微動だにせず鏡よりもくっきりと風景を映しているということだ。これが秋の水面。水面に映る風景を眺めていると、ふと夜空に浮かぶ小さな星たちまでキラキラ映してしまえるのではないかと思わせるほどだ。湖に浮かぶ星の瞬き…なんだか想像するだけでも楽しい。

 

 

冬はもうそこ。鳥も静かになり、森の中も湖も、どんどんひっそりしていく。家に遊びにきていたハリネズミは、すっかり身を潜めたと友人が話してくれていた。そろそろ動物たちは冬ごもりの準備をし、そしてもう冬ごもりを始めているのかもしれない。クマは冬眠前にたっぷりベリーを食べるとどこかで読んだことがある。私には冬眠がない。でも森にぽつりぽつりと摘み残されたベリーを見つけて食べたりしながら、若干説得力のない量ではあるけれど、これで気持ち的にはしっかり風邪予防と冬に備えているのだ。

 

(文章・写真 森下圭子)

秋の湖は澄みわたり、鏡よりもくっきりと風景を映す。

森に入って苔やらきのこを眺めていたら、唐突にこれが。松ぼっくりだ。おそらくリスの食べ残し…それにしてもエビフライっぷりが凄い、お見事。

フィンランドは秋に雨がよく降る。そして秋の朝晩は霧に包まれることも多い。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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