5月 久しぶりに戻ってみれば
しばらくフィンランドを離れていた。私の花粉症は、悪化すると熱がでたり2週間ほど声がでなくなったりする。できる限りの予防ということで、仕事の都合がつけば、私はフィンランドを離れてしまう。少なくとも花粉のひどい地域にはいないようにする。
今年は日本にいた。新緑の季節、山には藤や桐の花が咲き、数日とはいえ、山を望み海を眺める旅は、次から次へと何かを見つけ心躍らせるひとときだった。フィンランドを発った頃、暖冬だったとはいえ、フィンランドではまだ新芽がでるかでないかの頃、どこを見ても新緑の日本の風景は、北国の長い冬の後にはひとしおだった。
一時帰国を終えてフィンランドに戻ってきたら、なんと、いつの間にかフィンランドの季節は日本に追いつこうとしているではないか。さすがに気温は日本に及ばないものの、りんごの花も咲き、そこかしこの風景は新緑の緑で満たされていた。すごい勢いで夏がやってくる。花は一斉に咲きはじめ、なかなか日の暮れない白夜を喜ぶように、鳥たちは真夜中にも歌い続ける。
公園では、多少寒くても読書をする人、日光浴する人、ピクニックする人たちがいて、どこかの庭ではバーベキューも始まった。そうそう、まだ冷たい湖や海に飛び込んで冬とおさらばするのも欠かせない。フィンランドでは、この習慣を「冬の毛を洗い流す」と表現していて、冷たい水でさっぱりとして夏を迎えるということらしい。
今年は突然にやってきた感のある夏。いつもなら春のあいだにゆっくり準備するサマーハウスの掃除や、セーリングのための整備も、バタバタと焦りながらだ。これからは毎週末のように、夏に遊びにいく友人たちのサマーハウスの大掃除助っ人で忙しくなりそうだ。
あちこちで一気に花が咲き出した。首都の中央駅そばにも目に眩しいお花畑が。
羊たちもそろそろ夏の島へ。群島地域にいる羊の多くは、夏のあいだじゅう小さな島に放牧されている。
庭のテントで一人で寝る。小さな子供たちの夏の冒険がはじまる。