10月 きのこを探せ、きのこを調べよ

フィンランドには自然享受権というのがある。誰の所有であっても人は自由にその森に入っていい。いくらかの制限があり、森を傷つけるような行為や近くに人が暮らしている場合の注意事項はあるものの、ベリーやきのこなど、翌年になればまた育つものは自由に採っていい。

 

 

不景気になると、きのこの勉強をする人が増えると言われているのだけれど、確かにきのこに関心をよせる若い人が増えているようだ。自分で食べるだけでなく、売ってもいい。きのこやベリーは税金がかからないので売買しやすいのだ。個人がベリーを摘んで、直接学校や病院に売りにいける。レストランでは自分たちで採った珍しいきのこを出してくれることもある。最近では無料のきのこ講座やイベントに老若男女が実にバランスよく集まるようになってきた。そういう場ではきのこを使ったアレンジ料理も紹介され、きのこの味わい方もおしゃれになった。きれいな空気の中で育った食材を、自分の手で採って、さらに見目美 しく調理する。実際にこんなことをしていると、不景気という現実の重さをふと忘れてしまう。

 

 

これまでは市場でも見かけるようなきのこだけを採っていた人たちが、保存の知恵を学びあったりしながら、より多くのきのこを採るようになった。傘の裏をチェックし、柄を確かめ、間違いやすいきのこと、どこで区別すればいいのかを慎重に調べて新しいきのこを摘んでいく。最近は「きのこの本」で見つからなくてもスマホで写真を撮っておけば、あとで専門家に聞くことも簡単になった。これまでは市場や大学に設けられるきのこ相談の日を待たなくちゃならなかったけれど、最近はSNSで多くの人が教えてくれるのだ。

 

 

きのこにスマホのカメラを向けるようになると、美しいという理由だけで撮影するケースも多くなったなと思う。青いきのこ、白いきのこがどんどん黒く液状化し最後には消えてしまうというきのこ、そしておいしいきのこも群生していれば、満開の桜をみたときのように、ついつい嬉しくて写真を撮ってしまう。すでに南部でも雪がはらはらと降るようになったフィンランド。雪が積もって探せなくなる前に、一年分のきのこを摘んでおかなくちゃ…実はちょっと焦ってい る。

 

(文章・写真 森下圭子)

きのこが育つのが先か、雪が積もるのが先か。

ブルーベリーが森の地面を紅葉で赤く染めている。

静かな水面はすでに氷が張り始めている。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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