4月 春の訪れと雪どけ

今年は4月には入ってからも、ラップランドで-30℃を記録したことがあった。日照時間はどんどん長くなり、空は春の眩しさで満ちた日々になったというのに、気温は相変わらず低く、海の氷がビクともしない日が続いた。

 

 

ここ数年、4月上旬になると滞在しているフィンランド北部の小さな町。いつもなら雪どけ、一冬を雪の下で越したリンゴンベリーの赤い実をそこここで見つける時期なのに、今年はまだクロスカントリースキーで行き来する人たちがいる。川の水がゴウゴウと音をたてて流れ、表面を覆っていた氷が砕けながら運ばれていくのも、まだまだ遠そうだった。でも、こんな春は気をつけなくちゃならないのだそうだ。

 

 

フィンランドでは雪どけの時期になると、各地で川や湖の水嵩がどれだけ上がってしまうのかが問題になる。洪水になるところも少なくない。寒い日が長引いたあとの急激な春の訪れは、洪水のほかに氷問題というのまである。まだ厚いままの氷が大きな塊のまま、雪どけの水にのってぐんぐん流れていく。水位が上がり、民家にまで激しい川の水が流れ込んでくると、氷の塊は危険なのだ。とくに川が入り組む小さな北の町では、春が急にやってくると判断してからというもの、川を覆う厚い氷を少しずつ切り始めた。氷の塊になるべく細かく切り目をいれておき、木々や家に氷が勢いよくぶつかってきたとしても、その被害をできる限り小さくするためだという。

 

 

大変なことはあるけれど、でも待ち焦がれていた春だ。鳥の声に耳を澄ませたり、曇っていても外に出た瞬間にくらっとするくらい眩しいとか、石畳の隙間からひっそり花開かせる小さな黄色いたんぽぽに心躍らせたり。ものすごい勢いで春がやってきて、このまま一気に初夏に向かってしまいそうだけれど、でもひとつひとつ小さな春を見つけながら、春の時間をじっくりと楽しめたらなと思う。

 

(文章・写真 森下圭子)

氷を砕きながら船が毎日行き来している港なら、氷も薄く海も水もこんな風に見られる。

空は春の眩しさに満たされているけれど、砂丘も海もまだ氷と雪で覆われている。初めてここを見たら、そこが砂丘と海だとわからないほど。

ぐんぐんと日照時間が長くなっていく。4月にもなれば21時でもまだ夜が訪れない。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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