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12月 クリスマスまでのお約束

クリスマスを目前にして人々の熱気がすごい。街のどこもかしこもムンムンしている。同時に、クリスマスのプレッシャーやらストレスを募らせる大人も 目立ってきている。クリスマスカードから始まり、プレゼント、大掃除、クリスマスツリー、料理や飾りつけ。仕事は仕事でクリスマス休暇前に片付けなくちゃならないし、やらなきゃならない事だらけだ。わが家はフリースタイルなので、クリスマスのおいしいとこ取りみたいに気ままに構えている。ツリー選びに左右の枝のバランスがどうとか言われたら大変だろうな。うちは観葉植物に飾りをつけて遊んでいる。

クリスマスローズの当たり年とかで、今年は国産の白いクリスマスローズをあちこちで見かける。クリスマスツリーの伝統的な飾りは「りんごとロウソク」のフィンランドで、今年はりんごも当たり年だったし、身近なものをふんだんに使ってクリスマスっぽくできるなんて、それだけで嬉しくなってしまう。

 

ただし私にも、鼻息荒く気合を入れてクリスマスのこの時期を待ったことが一つだけあった。森ハチミツ。クリスマス市で衝撃的な出会いを果たした一年前。あれからいろんな店に足を運んでみたけれど、一度としてお目にかかることのなかった森の味のハチミツ。公園に延々と並ぶ出店の中で、ぱっと目にはいったお目当てのハチミツ屋さん。ハチミツまで私を待ってくれていたようではないか。森ハチミツは森の味、針葉樹林の味と香りがほんのり後に残るのだ。おかみさんの話だと、これは偶然の産物だったらしい。普段は森の野花の蜜を集めてくる蜂たち。花はもうない秋、でも暖かい、そんな日が続いたからできたのが森ハチミツなのだそうだ。できる量も少なく、だからお店に並ぶこともなかったという訳だ。

クリスマスローズ、りんご、森ハチミツ…トウヒの新芽のシロップからはじまり、ベリーやきのこもある。春から少しずつ蓄えてきた自然の恵みで、クリスマスをじっくり味わい楽しみたいと思う。

クリスマスマーケットではここでしか見かけないお店や商品もたくさん。一年に一度だけどお馴染みの顔も多く、その再会も楽しみのひとつ。

フィンランド産のクリスマスローズ。寒さにも強くて買った日も外に並べられていたほど。

大雪に心はずんだ朝。起きがけに雪玉を積んでキャンドルシェードを作ってしまった。半袖パジャマのままでベランダのドアをあけて体半分室内にいれた状態で。芯まで冷えた。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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