10月 秋の収穫、秋の匂い

このひと月ほどは気まぐれなお天気に一喜一憂していた。霜がおりた朝、花が狂い咲きしたうららかな陽気、嵐……目まぐるしかった。先日、バスの窓から夕焼け間近の空を眺めていたら、ふと、そこにはもう一分の夏の隙もないことに気づき寂しくなった。陽をうけた森の色は黄金色に輝いている。雲は水にインクをぽとり落としたように広がっていて、そんな雲は太陽がジンジンと照りつけたら溶けてなくなってしまいそうだ。

 

 

いつもより早くに顔を出しはじめていた茸だけれど、まだまだニョッキニョキだ。月曜には市場で「きのこ相談所」が出ていて、きのこならお任せのおばちゃんたちが、とりあえずで摘んできた茸を見てくれたり、見た目は怪しいけれど実は食べられるなんて茸を実際に用意して教えてくれ る。市場には野菜売りが茸もたくさん売っているので、きのこ相談所の後でつい茸を買い込んでしまう。摘んでおいてさらに買う。もう家の中はきのこだらけだ。友人のお母さんが教えてくれたのはフライパンで煎って水分をとばし冷凍保存するというもの。簡単だし、なによりもキッチンに広がる匂いが嬉しくて、私はだいたいこれで茸を保存している。もちろん乾燥させたり塩漬けにしたり、種類によってきちんと保存の方法を使い分けている人もたくさんいるのだけれど。

 

 

夏からのほどよい雨のおかげか、今年の紅葉は本当に繊細なグラデーションで葉の色が染められている。

 

 

そしてそして、この秋は右を見ても左を見てもりんご。たわわたわわ…もう例外なしというくらいに、りんごの木という木にいっぱい実っている。うちには庭がないのだけれど、食べきれないからと袋いっぱいのりんごをいろんな人からいただく。りんごの木がある人よりもりんごに恵まれてそうなくらいだ。これまた匂いが好きで、りんごジャムばかり作っている。家じゅうのドアを開けはなち、隅々にまでりんごの香りを満たす。ぐっすり眠れそう。

 

 

秋の風物詩といえばバルト海ニシン市。ここでのお昼を楽しみやってくる人たちにまぎれてカモメもはりきる。

 

 

そういえば去年の松茸騒ぎが信じられないほど今年は静かだ。それどころじゃないのかもしれないな。それくらい、フィンランドの人たちが大好きな秋の味覚に恵まれた今年の秋。秋はあと少し。すっかり日照時間は短くなってきている。

 

(文章・写真 森下圭子)

首都ヘルシンキでも散歩しながらこんな風景が。夕暮れまではあと少し。黄金色の風景を楽しむためにこの時間に散歩する人も多い。

夏からのほどよい雨のおかげか、今年の紅葉は本当に繊細なグラデーションで葉の色が染められている。

秋の風物詩といえばバルト海ニシン市。ここでのお昼を楽しみにやってくる人たちにまぎれてカモメもはりきる。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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