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2月 太陽を求めて南へ、南へ

日照時間も長くなり、冬のうちでも美しい季節になってきた。それでも雪のないヘルシンキの風景はなんとなく殺風景だ。フィンランドでは2月に1週間のスキー休暇があるのだけれど、最近はクリスマス休暇と同じく、海外で過ごす人たちが増えてきた。合言葉は「太陽」、人は南へ南へと、太陽があって暖かいというより暑いくらいのところを目指す。そして私もまた、今年はそんなところで2月を迎えた。

西アフリカのガンビアに向かった飛行機は私と、そして200人以上のフィンランド人を乗せていた。

こんなに大勢の人があまり知られていないアフリカの国に向かっていることも意外だったけれど、実際に海辺の町に到着したら右も左も北ヨーロッパからやってきた人たちで驚いた。太陽が恋しくてたまらなかった人たちでいっぱいなのだ。ホテルのプールサイドも、海辺の白い砂浜にも日光浴の人であふれかえっていて、到着時とはすっかり肌の色が違っている人たちばかりだった。

 

ガンビアではそんな日焼けした肌のお手入れに竹のオイルで作ったクリームがいいと言われている。
ココナツのボディクリームも旅行者たちには人気のようだ。私も仲良くなった人に竹のクリームをもらって、日焼け防止に失敗したヒリヒリの肌にすりこませる毎日だった。そして椰子の実ドリンク。


これは体にもいいし目にもいいよといわれ、庭師のおじさんが毎日もってきてくれるのをいいことに、もぎたての実に穴をあけてはゴクゴク堪能させてもらった。ベリーはないけど、これで視力対策はなんとかなったでしょうか。アフリカの人は目がいいというけれど、皆さんたしかに脅威の視力でした。

帰りの飛行機でヘルシンキ-5℃とアナウンスがあり、機内のフィンランド人たちは沸いた。自分たちの暑くて眩しいバカンスの日々を思い返してにっこりだ。夜毎ジージー聞こえてきた虫の声、青い空と海そしてさらさらの白い砂がどこまでも続く海岸を汗を流して歩いた時間、熟れたも ぎたての果物や眩しいくらいの人々の笑顔。これで寒さにも、どんより曇った灰色の空や街の色にもへっちゃらでいられそうだ。春まであと少し。

南国の青空や植物のように大きくてからっとした笑顔たち。北欧のちょっとはにかんだのもかわいいけれど、これもかわいい。

砂浜では日光浴だけでなく、釣りや乗馬などでのんびりくつろぐ人たちも多い。

太陽の旅だからか、朝から木陰でゆっくりする人は少ない。四六時中、あえて直射日光を避けていたのはサルと私くらいだったかも。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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