9月 夜空に残る一抹のひかり

月がかわろうというその時に急激に寒さがやってきた。風は肌を刺すように冷たくなり、9月の声を聞くと同時に秋が一気に深まった。そうそう、ベリーに引き続き、今年は茸も当たり年なのだそうだ。ニュースではしばしば松茸の話がでている。日本でものすごく重宝されているんだよ、ってな具合い。そして先日フィンランド松茸を口にした。フィンランドの人が日本の人にとわざわざ森で採ってきてくれたものだ。懐かしい香りだ。歯ごたえはちょっと違っていた気もするけれど…。肌にも目にも、そして耳にも届いていた秋。初松茸で、ついに五感すべてに秋到来の感だ。

 

 

ここのところ急激に日照時間も短くなっている。うちは小さなアパートだけれど、窓だけは大きくて、おまけにそこからの眺めを邪魔する建物がない。窓から広がる空と白樺。我が家は、越してきた時からリビングにはカーテンをつけないでいる。自分をとりまく環境はどんどん秋を深めているというのに、どこかまだ夏を感じていたい時期。夫はとくにそれが強い。そこで、少々薄暗くなっても部屋の明かりをつけないことにしてみた。そうして外の 明かりが空の隅から消えるまで、できる限り自然光を味わっている。

 

 

これが実に楽しい。雲の隙間にほんのり宿るそらの明るさの名残り、赤く染まるモクモク雲、闇空の中で瞬く大きな星、そしてオレンジ色に照る月。いろんな色を眺めていると、紅葉をはじめた葉の一枚一枚にも、光を孕んだほのかな空の恵みがみてとれるようだ。夏の日、艶々としていた緑の葉が、秋になって夕暮れ時の色をして輝いている。

 

 

もうダウンコートまで登場させている9月。秋は深まる一方だけれど、夏のころから続く光の余韻をもう少し堪能したいと思う。茸狩りもいいけれど、今年はちょっと落ち葉を拾い集めることに散歩の楽しみを見出しそうだ。

 

 

それにしても、松茸がこんなに騒がれるようになるとは思わなかった。松茸のゆくえはいかに?またクリームやソテーでこてこての松茸料理が登場するようになるのだろうか。

 

(文章・写真 森下圭子)

朝のまぶしさを堪能しながら食べる。あり合わせのものだって、残りものだっていい。陽がお腹を満たしてくれるみたいだ。

 

夏の終わりを告げるかのように、ヘルシンキでは大きな花火大会がある。花火は闇に映える。色はどことなく北欧的な淡さがあるように思える。

 

茸狩り日和の秋の快晴。こういう雲の色も秋が深まるにつれ、少しずつ身をひそめていく。

 

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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