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2月 もぞもぞ冬生活はそろそろお別れ

仕事机に『ハッピーな人の暦』というフィンランドの手帳を置いている。名言迷言のほか、トリビアやレシピまで付いてて楽しい。2月に入った週の下にはフィンランドで古くから伝わる言葉が控えめに書いてある。「ガミガミ女房の家の中より空が見守る屋根の上」…よりによって一年で最も寒い2月にこんな言葉。フィンランドの母ちゃんはそこまで怖いのか。

とはいえ今年は暖冬が続いている。雨がちな毎日。雪になると、普段はのんびりのフィンランド人がもの凄い勢いで外に繰り出す。そそくさと雪玉を転がして雪だるまを作ったり、橇(そり)を片手にあっちへこっちへ走り出したり。大人も子供も必死で雪遊びを繰り返している。

 

スケートも天然リンクがないし、そこいら辺の森でクロカンスキーしようにも雪はなし。今まで簡単にさっとできていた冬の運動がすっ かりできなくなってしまい、なんだか体もなまってしまっている。熊はなかなか冬眠できず、悩ましい毎日を過ごしているらしい。熊のほうが私より体を動かしているかもしれない。孫が4人いるというおばちゃんが「サンバを習っててね。」と熱く語る姿を見て、シニアも楽しめるフィンランドのサンバはいいかもしれ ない…と思うがいかがなものか。おばちゃんを見る限り、ダイエット効果は期待できそうにない。とりあえず近くの市民プールへ久しぶりに通うことにした。お腹の周りにベルト状の浮き具をし、体を立て水中に浮いた状態で走る「アクアジョギング」というのがある。一時的な流行で終わると思いきや、最近ではマイベ ルトを持っている人までいる。人気はこの数年、上昇するばかりのようだ。

暗さばかりの雪なし冬景色はなんとも寂しくて室内にこもりがち。青空の日が増えてくる季節に備え、散歩をしても息切れしないように、体を慣らしておかなくては。散歩が気持ちいい時期に冬のどんよりが体中にこびりついていると、自分だけ取り残されたようになってしまって本当に辛いから。

 

*このレポート後(1月19日筆)、森下さんから連絡があり、2月現在のフィンランドは雪が降り続いているようです。気温もヘルシンキ周辺は-15℃まで下がったようですよ。ようやく本来の冬の空気に戻り、喜びに溢れ返りそうですね!

カシスのホットジュース。ジンジャーなどのスパイスを加えて味にアクセントをつけるのも楽しい。体の芯まで暖かくなるし、コリがほぐれていくような気がする。

氷のない天然リンク。スケート靴がはけない状態。それでも頑張る父子の強引なアイスホッケー特訓。思わず目頭が熱くなる。ならないか。

くしゃくしゃっと枝が絡まって玉のようになっているこれをフィン語では「風の巣」と呼びます。散歩でふと立ち止まり、ふと頭上の景色に心を向ける瞬間。

森下圭子さん

Keiko Morishita-Hiltunenさん

 

ムーミンが大好きで、ムーミンとその作家トーベ・ヤンソン研究のためにフィンランドへ渡り、そのまま住み続けている森下さん。今はムーミン研究家として、またフィンランドの芸術活動や、日本へフィンランドを伝える窓口として、幅広く活躍中。

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